22時

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「すみません。あなた方、今回の事件を目撃していた人たちですか?」 不意に話しかけられ、俺と優正は同時に声の方を向いた。 そこにいたのは警察の人だった。 「あ、いえ。目撃はしてないんですけど……」 優正が事情を説明してくれている横で、俺は背筋が凍った。 もしも紙に書かれていた時間通りにここに来ていれば、犯行現場を目撃することになったかもしれないのだ。 そう思うと手が震えた。 「ポケットに入ってた紙? それ見せてもえますか?」 優正がポケットに入っていた紙のことも説明していたらしく、警察の人が俺を見て言った。 その言葉で我に返り、俺は慌ててコートのポケットから4つ折りの紙を出して警察の人に渡した。 「『今夜22時。○○ビル前交差点』」 それを読み上げた警察の人が、傍にあるビルを見上げてメモに書かれているビルと同じであることを確認した。 「あの女性とはお知り合いで?」 「いえ。あ、でも今日の朝、すれ違いざまにぶつかった人に似ていて……人違いかもしれないんですけど」 警察の人は難しい顔でメモを凝視している。 ようやく顔を上げたかと思うと、「また事情を聴くことがあるかもしれませんが、今夜は帰っていいですよ。この紙は貰っても構いませんか?」と言われた。 俺は頷き、警察の人に連絡先を教えて優正とその場を後にした。
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