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「ろうそくがある。こっちには燭台も」
「小さな魔石もございますわ。これは……魔力切れになった〝ライト〟の術式が付与された魔石のようです」
クロードお兄さまとイレーネお義姉さまは、看板の影になって隠れていたそれを見つけてくださいましたの。
「祭壇のここ、ちょうどその魔石がはまりそうなくぼみがありますの」
「その左右に燭台も置けそうですね」
とりあえず、発見した燭台、ろうそく、魔石を祭壇に置いてみたのですが、何も起こりません。
「明かりを灯すようにと看板の指示にもありますし、魔石に魔力を補給してみましょうか」
「そういうことなら、ろうそくの火は俺が」
エディとクロードお兄さまが作業を終えると、わたくしたちに近づいてきた薬草を背負ったホーリースライムが何かを訴えておりましたの。
「きゅーいー」
器用にゼリー状の体の形を変形させ、ジェスチャーで何かを伝えようとしておりますが……これは、もしかしてお祈り?
四人、祭壇の前で横一列に並び、床に膝をついて祈りを捧げます。
『魔力、美味しかったのー』
『これは御礼なのー』
『受け取ってほしいのー』
声が聞こえて閉じていたまぶたを開ければ、目の前に光球に包まれて薬草とポーションの瓶が浮かんでいたの。
「これが、トラヴィスさんが言っていた……」
こういうこと、でしたのね。
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