(side エンディミオン)

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「トラヴィスさまが管理なさっている獅子の塔は、素晴らしいダンジョンですわ」 「……イレーネは、そんなにあいつのことが……」 「わたくしのお父様のお一人は、偉大でしたのね」  ……ポンコツすぎる親子……いや、今世は兄妹だが、それにしたって、敬愛の感情と恋愛感情を区別できないポンコツなヘタレをどうしたものか。 「イレーネ嬢、クロード殿と共に左側からまわってもらえますか? 僕はソフィア姫と右側からキングダンジョンスライムを仕留めようと思います」 「了解いたしましたわ。クロードさま、参りますわよ?」 「あ、ああ」  はぁ……ポンコツヘタレには、恋愛経験豊富な助言者が必要なのか?  だが、心当たりはないな。  僕の両親は政略結婚の部分があって参考にはならない。  兄上や姉上の周囲は、高位生命体だらけだから、人間の恋愛相談をするのは避けたい。  今回は吊り橋効果を狙ってみたが、きっかけくらいになれば、まだいいか。
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