(side エンディミオン)

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「――導くは、あまねく力」  補助詠唱は、普段は省略することも多いが、今回は戦闘が長引いた場合に備えて魔力消費を抑える補助詠唱を唱えておく。  この世界の基本属性は、炎、風、水、土、雷の五つ。  それらの魔力を矢の形にイメージして、キングダンジョンスライムたちに向けて放つ。 「――〝エレメントアロー〟」  どの属性の耐性を持っているのか判別できないのであれば、属性の耐性による影響を受けない魔力をぶつけて攻撃するまでのこと。  前世で習得した剣術は、まだまだ今世の未熟な肉体では再現できない。  ならば、今世の兄上や姉上たちと共に学んだ魔法で未熟な剣術部分を補うまでだ。  虹色の矢が雨のように降り注ぎ敵を射ぬく。 「エディ、無茶しすぎですの」  キングダンジョンスライムの群れを仕留め終えたあと、僕に駆け寄ってきたソフィア姫に涙目で怒られてしまったのは想定外だったが……。
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