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本日は、クロードお兄様とイレーネお義姉様の婚約発表御披露目会を兼ねたお茶会でしたの。
会場には、クロードお兄様や、わたくしと年齢が近い貴族の令嬢や令息が集められておりましたわ。
王族主宰のお茶会のため、貴族の令嬢や令息にとって同年代が集まるお茶会は絶好の出会いのチャンスなのですけれど、その会場で事件が起こりました。
「ひっ……」
黒いモヤに包まれたナニカが、クロードお兄様へと近付いてきているのを目撃してしまい、わたくしは思わず悲鳴をあげそうになりまして、あわてて声を飲み込みましたの。
「大丈夫ですわ、ソフィア様。わたくしが対処いたします」
イレーネお義姉様が身に付けていたブレスレットには、どうやら空間収納魔法の術式が込められたものだったようで、そこから取り出した聖水を近付いてくる黒いモヤにかけておりました。
「――封魔滅却、瘴気退散!」
イレーネお義姉様の飴色の髪がふわりと揺れて、キラキラと角度によって色を変える虹色の光の粒がイレーネお義姉様自身と、イレーネお義姉様がまいた聖水を包んでいて幻想的な光景でしたの。
聖水には瘴気や邪気を浄化する力があり、呪いを受けた場合も軽い呪いであれば聖水で解呪できると知られておりましたが……まさか黒いモヤが消えて頭から水浸しになったご令嬢たちが現れるなんて予想外ですわ。
このご令嬢たち、呪われていたのですわね?
「……イレーネ?」
クロードお兄様には、黒いモヤは見えていなかったようですの。
困惑した表情を浮かべてイレーネお義姉様と水浸しのご令嬢たちを見比べておりますわ。
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