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「あ、あの。京介さん、お父様と喧嘩になるんじゃないですか?それはまずいですよ。申し訳ないです」
「稚奈さん。じゃあ、茂の嫁になる気なの?おそらくこの買収条件に君の婚姻は入っていて、君の叔父さんがサインをしてしまっているんじゃないかな……」
「叔父さん、本当なの?」
叔父は困った顔をして下を向いた。京介さんは私に言った。
「さてと……稚奈さん」
「はい」
「婚約者は茂と僕ならどっちがいい?」
「え?そ、それはどういう?」
「そのままの意味。どちらかの婚約者になることが条件で会社を救うとなった場合、君は僕とアイツのどちらを選ぶ?」
こちらをじっと彼が見ている。そ、そんな。別に婚約しなくても助けられるよね、京介さん。でも、目の前のお見合い相手を退けるには言わないとだめだよね。
「……京介さん……です」
「そう。じゃあ、僕と婚約しようか?」
「「「何だと!?」」」
「ええ!?」
皆が驚いて彼を見た。私はあっけにとられて口をあんぐりと開けてしまった。
「どうして?今は婚約じゃなくて、会社のことでしょ?」
私が小さい声で言うと、弁護士が言った。
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