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「京介様、それはないですよ、感謝していたくせに。初めまして、本郷様。柴田と申します。今後ともよろしくお願いします」  深々と挨拶される。 「あ、こ、こちらこそあの、よろしくお願いします」 「ぼっちゃん。良かったですね」 「は?まあな、これからだ。父さんにアポは取ったか?」 「榊様にご連絡しましたら、すでに相互親子が突撃されたようで、困っておられましたよ。あ、本郷様、榊様とは旦那様の秘書兼執事の方です」 「稚奈さん。とりあえず、このまま本邸に行ける?」  するとお腹が鳴ってしまった。恥ずかしい。朝から何も食べていないのだ。叔母に連れ回されて、ようやく食べる段になってこの有様だ。 「お腹すいたね、気が利かなくてごめん。柴田、食事運ばせて。食べてから行く。どうせ、相互親子がいなくなるまで時間がかかるだろ」  そう言って、元来た部屋へ戻って、美味しいフレンチを頂いたのだった。 「稚奈さん、食べながら聞いて……」 「はい」  彼はコースの後、デザートは食べずにコーヒーを飲んでいる。私はケーキセットが出て、ケーキを食べていた。
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