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「父は、僕が君を助けたがっているのを前から知っている。君達親子については父はずっと調査していたから、何もかもわかっていたはずだよ」 「……はい」 「僕はね、この身分になって政略結婚なんてまっぴらごめんなんだよ。父だって自分がそれで母を欲したのをわかっているから強くは言ってこなかった」 「……」 「でも、僕の家督相続を前にして、やはり僕の出自をどうこういう親戚を黙らせるために大きな会社の令嬢と一緒にしようと企み始めた」 「……そうなんですね」 「ああ、そんな顔しないで。僕に全くその気はない。僕はね、自分で言うのも何だが、経営の才はあると思う」  すごい。自画自賛。サラッと言うんだから、もうやってられない。 「そうなんですか?すごいですね」 「そうだろ。君のお付き合いの相手は家柄よりも中身で勝負だ」  京介さんったら。茶目っ気のある目がこちらを見ている。 「父には結果を見せてきたし、知っているはず。だけど、僕のためだと言う。僕はね、愛する人が側にいて、その人のためなら倍くらいの力を出せると確信している。それが君なら間違いないと思うんだ」
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