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「ああ、危ないわよ、沢田君。落ち着いて……私ちゃんと聞いてるからね」
「……ああー、なんかもう、その言い方がすでに……ショックだな、もう」
「沢田。この研究が認められて商品化にめどが付いたら、きっと稚奈もあなたを眼中にいれるわよー」
室長。煽ってる。信じらんない。私を利用してるとしか思えない。
「沢田君。気にしないでいいから。頑張ろうね」
「タダの同僚にかける言葉じゃないですか、それ。僕の決意に返事してください」
「あ、えっとね……」
パンパンと手を叩いた祐子さんは周りを見て言った。
「さあ、大詰めよ。気を緩めないで頑張りましょう」
すると私の側に来た祐子さんが言う。
「稚奈、ちょっといい?」
「はい」
打ち合わせコーナーに入った彼女は私と向かい合って座った。
「会社はどうなの?副社長達は結局会社辞めるの?」
そうなのだ。
実は、先週うちの経営から身を引きたいようなことを言ってきた。
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