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まあ、要するに顔を合わせて話す時間が本当に少ないのだ。最初のひと月は、帰ってくると寝ぼけ眼で充電と言って抱きついてきて、首元で寝ていたり、いやはや信じられない生活だった。
だから、一緒にいても食事を共にすることもあまりなく、休日もいつなのかさえわからない。
すでにあれから三ヶ月経過したが、一緒にいるという感覚がまだ薄いと言うのが実感だ。
「正直、一緒にいる時間がほとんどないんです。仕事漬けっていうんですかね、家にいるのは寝るだけ?すごい生活してますよ、御曹司」
「つまり、稚奈との関係は一ミリも進んでないの?一緒に寝てないのかい!」
「……すみません。とにかく、そういうのはまだです」
「報告しろといってるんじゃないんだよ、稚奈も色気がなさすぎなんじゃないの?好きなんでしょ、彼のこと」
色気か……。それは自覚している。
なんというか、まあ男性とお付き合いをしたこともあるんだけど、常に研究が一番だったんだよね。
それでフラれてきました。沢田君と一緒です、はい。
今更、急に色気を作れるわけもなく、充電くらいでどうこうなるわけでもない。
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