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業務を終え、ロッカー室で手早く帰り支度を済ませた。
窓から見える空は真っ暗。
「凪ちゃん、私ちょっとトイレ」
「はーい」
佐伯さんのトイレ待ちしてる間、何となく手持ち無沙汰になってバッグから携帯を取り出した。
ちょっと調べたい事があって、文字を入力して検索をかける。
出て来た結果に「ふーん……」と感想を持っていると、トイレからバタバタと佐伯さんが出て来た。
「お待たせ、凪ちゃん………あらLINE?」
「あ、いえ……ちょっと調べ物を…」
画面を覗こうとする佐伯さんから携帯を離す。
「調べ物ねぇ……最近の若い子はすぐに何でもスマホで調べちゃうんだから」
「あはは………つい、便利で」
佐伯さんからの軽いお説教を苦笑いで交わし、携帯をそっとバッグに仕舞った。
「何を調べてたの?憧れの彼の落とし方とか?」
「そ、そんなんじゃないですよ」
そんなのとっくに検索してるし……と心の中で呟いておいた。
「さっき、ちょっと変な人がいまして……」
先程遭遇した見知らぬ男性を変な人呼ばわりするのも失礼かと思いつつ、適当な言葉が見付からず変な人扱い。
「変な人?」
佐伯さんが怪訝そうに眉をひそめる。
「あ、いや、それほど変な人って訳じゃなくて……何か馴れ馴れしい感じの人というか…」
私の言葉のチョイスが下手なせいで、男性が不審者だと思われてしまいそうだ。
「その人のネームタグ見たら変わった名字だったから何て読むんだろうって」
「ふぅん……で、答えは分かった?」
「いや………検索したら何通りか読み方があるみたいで…」
答えは分からず仕舞いだった。
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