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「っ……」 悔しさから奥歯をぐっと噛んだ。 清掃の仕事はどうしてだか世間から軽く見られる傾向にある。 何故?汚れる仕事だから? 人の役に立つ仕事だし、欠かせない人員だ。 どうして下に見られないといけないんだろう? 底辺なんて言われたくない。 落ち込むよりも憤りを感じてモップの柄を握る手に力を込める。 「今の発言はどうかと思いますよ」 不意に聞こえてきた声にハッと我に返った。 咄嗟に声の主を探す。 「誰のお陰で綺麗な職場で気持ち良く働けると思ってるんですか?撤回すべきです」 現れたのは、キリッとした顔立ちの若い男性だった。 「おいおい……青柳(あおやぎ)、先輩に向かって説教かよ。偉くなったもんだな」 忽ち不穏な空気が流れるも、青柳と呼ばれた男性は顔色一つ変えずに言う。 「人として最低な発言を聞き流せなくて、つい……尊敬している先輩だからこそ意見したまでです。後輩を失望させないで下さい」 相手を選ばずに毅然とした態度で言い切った彼に、先輩社員は「チッ…」と舌打ち。 「格好いいねぇ、青柳くんは」 「出来る男は違うね。流石だわ」
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