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 少年による捜索は、以前よりもよりあの少女を目的として、行われるようになった。手には例の二十七枚撮りカメラである。しかし、頼りにする場所といえば結局はあの二つの公園に限られてくる。少年は空き時間を見つけてはベンチに座り、そして、公園の内に目を光らせる。人が賑わってくると、少年も場所を移した。喧騒のあるところに少女は現れないと、そう思ったのだ。ところが、野球ボールとバットをそれぞれ手に持った者らが入場し、少年が席を立った途端——見つけた。少女は相変わらず一人で、木々や遊び場を愛でていた。少年は、一体どうしたかというと——再び着座した。元のベンチに、落ち着いた。そうして、何をしたか。少年は、カメラを構えた。  少女は、満たしている、自らの欲望を。時空を思いのまま切り取ることによって。少年は、その欲しいがまましている少女を盗み撮ることによって、満足を覚えた。一刻も早く、彼女の姿を手にとりたかった。そして、思うが早いか、シャッターを切る。指は小刻みに震え、何枚撮ったか知りようもなかった。押下に手応えが感じられなくなってやっと、少年は我に返った。それから気恥ずかしくなって居ても立っても居られなくなり、そっとその場所を去った。
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