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きさらぎ 第四話
「なんと巣鴨にいます」。
スマホで打つとしばらくして
眼鏡から返信があった。
「おおお♪イイね。遊び?」
「失恋。ネット恋愛で追いかけ、
待ち合わせ場所でひとり途方に暮れてました」。
「ああ…」
「はい。。」
見ていた眼鏡のYouTubeがやっぱり炎上し始めた。
でもクマのぬいぐるみ代金の倍の値段を寄付してた。
なんとも言えない。
「今、一人?」
「うん」
「ウチ来なよっ。
一昨日のカレーの残りが余っている。
辛口だけど。ハチミツ入れてもいいよ」
「そうさせてもらう。一人で居たくないんだ。
週末なのにごめん」
雪が鼻の頭に積もってきてたけど
嬉しくてあたたかくなって溶けた。
まだ覚えてくれている。
僕が甘党だって。
眼鏡は人好きで面倒見が良い。
相変わらずお前は良いやつ。
眼鏡が送ってきた住所は、
2〜3駅よりもっと先だった。
向かうのに小さくても、
有名な緑色の電車に乗る。
この先は行った事がない。
一駅ドアが開くたびに、
十人程が乗ってくる。
このままじゃ立っていられない。
満員電車で僕もみんなも
缶詰の中のガラクタのように転がってしまう。
続く…
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