夢の中のあなたに会いたい……。

あなたは誰？

　小さい頃からたびたび私の夢に出てくるあなた。

　ハッキリと姿は見えないけれど、私に似ている気がする。いつも私を見守ってくれている不思議な存在。

　私が幼稚園で男の子にいじめられて泣いた日の夜は、夢の中で男の子をやっつけてくれた。もちろん、夢の中の出来事で実際に男の子をやっつけたわけではないのだが、不思議なことに次の日に男の子から謝られた。

　私が小学校の体育で鉄棒ができなくて学校へ行きたくないと落ち込んでいた時、夢の中で一緒に練習をしてくれた。不思議なことに、数日後にはコツを掴んでできるようになっていた。

　その後も、事ある毎に私の夢の中へやってきては、私のお悩みを解決してくれる。

　テスト勉強も一緒にしたし、恋バナもした。

　一人っ子の私には、姉のような存在。誰にも言えない大切な人。私の中のもう一人の私。

　彼女に会えるのなら会いたい――。

　20歳の誕生日を迎えた私に、母から衝撃の事実を知らされた。

　母のお腹の中に私が宿った時、私は双子だったそうだ。初期の段階で一人消えてしまったと……。バニシングツインと言われる現象で、双胎妊娠の約10～15％で起こるそうだ。本来は、母の子宮に吸収されるはずなのだが、私の中に吸収されたのではないかと思ってしまう。事実なんて関係ない。私が信じているのだから。

　実際に一瞬ではあるが私が姉妹だった証。

　会いたいけれど会えない。けれど、常に私に寄り添うもう一人の私。

　これからも私が存在する限り共に生きて行く――。