4人が本棚に入れています
本棚に追加
場所は因縁の校舎裏。
スマホの操作を終えたタイミングでリナがやってきた。
露骨に不機嫌な顔で私を睨みつける。
チッとひとつ舌打ちをした後、唇をとがらせて声をあげた。
「視界に入るなって言ったのに。渡したいものって何よ。」
教室から出た私はすぐにリナにメッセージを送っていた。
渡したいものがあるからこの場所で待つと。あなたにとって重要なものだという一言を添えて。
彼女の用心深さを考えると無視せず確実に潰しにくると思ったが、予想通りに動いてくれたようだ。
私は無言でポケットからそれを取り出した。
リナはすぐに気づき、
「ふん。あの日のラブレター、まだ持ってたの?クシャクシャにしちゃってまぁ。まさか私が彼を先取りしたことを言い触らしてやろうとでも思ったの?急にグループチャットに入ってきたりなんかして。おあいにくさま。証拠なんてありゃしないんだから、アンタのことなんて誰も信じないわよ。チャットの履歴だって、そのあと直接話して流れが変わったって言ってしまえばそれでおしまい。意味ないわよ。」
と、強がる言葉をペラペラと並べ立てた。
私はそれらを無視し、手にあるものを彼女の前に差し出した。
「だから意味ないって・・・・・ん?・・・これって・・・・」
ハッと気づいた顔をして、リナは私の手からそれを奪い取った。
クシャクシャになった紙の端からメタリックな物体がのぞいてる。
あの日、それの上からラブレターを握り込んだことで、ちょうど包み紙のようになっていた。
一度は剥がしたが今はあの日の状態を再現している。彼女に突きつけるために。
慌てるような仕草で紙を引き剝がし、それが何なのかわかるとーーーー
彼女の顔はみるみると青ざめていった。
「なんで・・・なんでボイスレコーダーが!!」
私はニヤリと笑い、彼女に言った。
「再生してみなよ。」
リナは震える指先で再生ボタンを押した。
最初のコメントを投稿しよう!