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眉を顰め、扇で口元を覆い、囁くようにエルザは言った。
「跡継はいるんだろう?」
「そうじゃ。わたくしの息子と、その孫がおる。だが、その息子がな、かつてのアルカード家の状況に戻したい、と思っている様子でな」
「何だっ…て?」
「あの通り、あの子は始祖に生き写しじゃ。そして、そなたの復活。ありしの姿を取り戻すことで、かつての栄光も取り戻せる、と思ったらしい」
「お前という存在があってもか?」
「我が家は、そなたの「守り人」がそもそもの役割。戦時の時は重宝されても、平和時はとくに気にもされぬ立場よ。わたくしは、それで良いと思っておるが、息子はそうではないようじゃ」
ふう、とため息を吐き、エルザは言葉を続けた。
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