死んでも会いたい

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「仕方ありません。こうなったら奥の手を使いましょう」  しばらくしたあと、ジェームズは再び仕切り直した。 「奥の手?」 「無暗に使ってはいけないのですが、そんなこと言ってる場合ではありませんね」 「なぁに?」  怪訝そうに、あたしはジェームズをじろりと見た。 「あなたの望みをひとつだけ叶えましょう」 「口封じってこと?」 「そう思っていただいても」 「もし嫌だって言ったら?」 「そうなれば、私は地獄行き。あなたは逃亡者です」 「逃亡者?」 「つまりはお尋ね者。未来永劫追われる身になります」 「もし見つかったら?」 「あなたの魂は、黄泉の監獄に」 「黄泉の監獄?」 「ええ。そこで永遠の時間(とき)を過ごすことになります。どこへも行けず、転生することも許されない、永遠の孤独」 「永遠の……孤独……」 「ええ。ある意味、地獄よりも辛いかも知れません」 「そんな……」  永遠の孤独? ずっと独りぼっちってこと? 死ぬまでずっと?  あ、もう死んでるか。  いやいや、そんなの絶対嫌だ。あたしはずっと、保といたい。 「それじゃあ、あたしを生き返らせて。それがあたしの、たったひとつの望みだから」  うん。我ながらうまいこと思い付いた。これでまた、保といられるようになる。 「それはできません」 「なんでっ?」  思わずジェームズに掴みかかる。あ、この人には触れるんだ。 「あなたの命の炎は、既に燃え尽きています。再び燃やすことはできません」  顔色ひとつ変えずにジェームズが言う。 「そう……なんだ」  あたしはするりと両手を下ろした。
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