死んでも会いたい

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   ここは、どこ?  暗くて、何も見えない。  寒い。寒くて死にそうだ。  誰か……。  (たもつ)……。  そうだ。あたし、保に会いに……。  あ。今、何か光った。  光?  ううん。あれは……夕日? 「あ、あかり……?」 「保! 良かった! あたし……」 「ひいっ!」 「え? 保?」  あたしを見るなり、保は青くなって尻餅をついた。 「な、なんで?」 「なんでって、約束したじゃん。誕生日に豪華なディナーご馳走してくれるって。だからあたし」 「で、でも、あかりは……」  奥歯をガチガチ言わせながら、保があたしを凝視している。 「なぁに? 幽霊でも見たみたいに」  あたしは両手を腰に当てると、ちょっとむくれて保を上から見下ろした。 「ゆう……れい」 「へっ?」 「幽霊……なのか?」 「はぁ? 何言って」 「だって、死んだだろ? あかり。誕生日に」 「え……?」 「ここに来る途中、交通事故に遭って……」 「事故? あたしが……?」  あ、そうだ。  あたし、死んだんだっけ……。
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