青い十字架の簪

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「恋歌・・!大丈夫か?」 いつものように恋歌に会いに白夜にやって来た時雨が、突然目まいをおこしたかのようにフラッと体勢を崩した恋歌を支える。 「時々・・、こうなりますの・・。いつものことですわ・・。驚かせてしまって申しわけありません、時雨様・・」 「恋歌・・。まさかとは思うが・・」 時雨は嫌な予感がした。 「休日がなかったのか・・?」 「・・!」 恋歌の沈黙が答えである。 「気づかなくてすまなかった・・。辛かったな・・」 時雨が恋歌の髪を優しくなでる。 「7日ほど、お休みはありません・・。そういう時期が時々あるのです・・。女将さんの大切なお客様や偉い方がいらした時は仕方ないのです・・」 恋歌を救うためにはどうしたらよいのかと時雨は考えた。 そこで思いついたのが「外泊」である。 自分の家で匿い、まずはゆっくり休んでほしいと思ったのだ。 白夜の女将には桃矢の知り合いの有名な画家から頼まれたと嘘をついた。 こうして、3日間だけの特別な許可がおりたのである。
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