青い十字架の簪

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「・・・」 「くっついていると、とても温かいですわね・・!」 朝の予告どおり、恋歌と一緒に眠ることになった時雨は恋歌の布団の中で胸の鼓動だけが早くなっていった。 「・・恋歌は恥ずかしくないのか?」 「私はとても嬉しいですわ!ずっとこうしていられたら、どれほど幸せなことでしょう・・」 恋歌が時雨を抱きしめる。 「そうだな・・。ずっと、こうしていられたらいいのにな・・」 時雨も恋歌を優しく抱きしめる。 「恋歌は簪を贈る意味を知っているか・・?」 「ええ、帝都で流行している意味でしたら知っていますわ。その・・、意中の方に・・、贈るのですよね・・?」 時雨と恋歌の視線が重なる。 「少し、待っていてくれ・・」 時雨が本棚から包装された物を取り出す。 「これを・・、受け取ってもらえるだろうか・・?」 「・・!」 包装された物の中身は、青い十字架の装飾がほどこされた簪であった。 「大切にします・・!」 恋歌の美しい髪に十字架の簪が飾られた。
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