別れのワルツ

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昨晩、3日間の外泊を終えた恋歌は女将に呼び出され仕事部屋を訪れていた。 「恋歌、お前に身請け話だよ」 「それは・・!どなたからですの・・?」 恋歌が期待に胸をふくらませる。 「帝都の名門貴族、城ヶ崎伯爵家の当主・・、椿様だよ」 「えっ・・」 時雨ではない人、おまけに帝都の貴族となれば断ることができない。 城ヶ崎椿は20歳の若き伯爵であり、城ヶ崎家は蒼月帝国に古くから存在する名家の1つである。 貴族はみな帝都で暮らすという風習があり、城ヶ崎家の本邸も帝都から移ったことはない。 「恋歌、あたしもそこまで鬼じゃあないよ。特別にお前に選ばせてやるよ。あの、時雨とかいうダンピールと夫婦になりたいのなら、城ヶ崎伯爵とのありがたいお話を断ってあげてもいいよ」 「本当ですの?!」 恋歌が安堵する。 「あぁ、本当さ。ただし、お前が時雨を選んだら、時雨には必ず死んでもらうよ。それでもいいのなら、最愛の時雨を選ぶといいさ。さあ、どうする?恋歌・・」
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