別れのワルツ

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「あの子はあたしの問いに対して城ヶ崎伯爵を選びましたよ・・。まったく、よりにもよってダンピールに惚れるなんてねぇ・・」 驚きのあまり、桃矢は言葉を失う。 「場所は・・、式場はどこだ・・?!」 時雨が動揺しながらも言葉をつむぐ。 「哀れなダンピールには特別に教えてやろうかねぇ・・。帝都の教会だよ・・。まあ、行ったところで何も変わらないけどねぇ・・」 時雨が女将の仕事部屋を飛び出す。 「時雨くん・・!待ちたまえ!」 桃矢も時雨につづいて部屋から出ていく。 「13時には間に合うだろうねぇ・・。でも、無理なんだよ・・。お前がダンピールであるかぎりね・・」 役人だけが残った部屋で白夜の女将があやしげに微笑んだ。
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