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桜井桃矢との出会いから9年が経ち、銀色の短い髪に紫色の瞳をした時雨は容姿端麗な19才の青年に成長していた。
白いブラウスに黒いマントを羽織っており、黒いズボンに黒いブーツという落ち着いた色の服装が時雨の顔立ちの良さをさらに引き立てている。
桃矢も30才の若き天才音楽家となり「音楽と結婚した男」という異名がつくほどだった。
幼い時雨を招いた音楽団「神楽」の団長もつとめており、蒼月帝国では有名な存在になっていた。
「僕はだね!恋に悩む時雨くんが見てみたいのだよ!」
出会った頃と変わらず、桜色の着物を愛用している桃矢が思わず本音を口にする。
「桃矢殿・・。なぜ、酒に弱いのに飲んだんだ・・」
団員からもらった珍しい異国の酒を試しに飲んでみたところ、見事に一口で酔っ払ってしまったのである。
「そりゃあ、美味しそうに見えたからだよ!ふはははは!」
桜井邸の中にある事務所で時雨は酔っ払った桃矢の世話をしていた。
「俺は今日は帰る・・。布団は敷いておいたから早く寝てくれ・・。風邪を引くぞ」
「青年よ、恋に悩め!」
近いうちに神楽の団員と「桃矢への酒の贈り物禁止令」を検討しなければと思う時雨だった。
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