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みんなに出会った
とても美味しそうなカレーの匂いで、私は目が覚めた。
「お、気が付いたみたいだな。おーい、シャオラン、女の子起きたみたいだぞー」
私の目の前には、先程とは違う短いカラフルな髪色の猫耳少女がいた。
「え!? ネム、本当!?」
遠くの方から、カレーを持って、先程のオレンジお団子ヘアーの女の子が走ってきた。
「よかった~、起きれる? ご飯、食べれる?」
私は、力なく首を横に振る。
「そっか……じゃあ、リーリーによりかかって、ちょっとでも食べようよ! ご飯を食べないと、元気もでないよ?」
そう言うと、オレンジ髪の女の子は、小さなぬいぐるみサイズの赤いスカーフをつけたパンダを両手で見せてくれた。
「リーリー、お願い!」
次の瞬間、パンダのぬいぐるみは、ぼわん、と、大きく変化した。
それは、私が見つけた、そして、私をここに運んでくれた、あのパンダだった。
私は、されるがまま、体を起こされ、パンダに寄りかかった。
「はい、あーん」
スプーンでカレーをすくい、私の口元に運んでくれる。
一口食べると、みるみる元気が出てきた。
「……おいしい……」
「そうでしょー!? 私が作ったんだよ!」
オレンジ髪の子の後ろから、ひょこっと黒髪の女の子が表れた。
「ちょっと、咲耶、危ないよー」
「あー、ごめんね。私は咲耶!」
さりげなく自己紹介をする黒髪少女・咲耶。
「私は、ネム、な」
猫耳カラフルヘアーのネムが続く。
「み、みんなばっかり、ずるいよー!」
オレンジお団子ヘアー少女は、またカレーをすくってくれた。
「私は、シャオラン。で、その後ろのパンダさんが、リーリー、だよ」
シャオランからのカレーをモグモグ食べながら、私も喋る。
「私は、モモ」
全員、私と同じ位の年頃で、四人女子高生グループのように、賑やかに笑いあった。
「ほう、目が覚めたんだな」
「シャオラン、修行の支障になるから、明日には人里に連れていってやれ」
喋るフクロウに喋るゴリラが、いきなり登場した。
本当に、いきなり、突然、音もなく表れたのだ。
「もうちょっとくらい、一緒にいても……」
「だめだ。お前達は強くなりたいために、修行してるんだろう?」
シャオランは、喋るゴリラの言葉にしゅんとする。
「山の中で人を発見!、って動画上げていい?」
「お前は目立つなと言っているだろう!」
咲耶は、スマホを持って意気揚々としていたが、喋るゴリラに制される。
「仕方がない。今夜は、いっぱいお喋りしようや!」
ネムは、シャオランの肩をポン、と叩いてやった。
シャオランは、ゆっくりと頷く。
光が射し込まないため、今が何時かわからないが、どうやら今は夕飯時のようだ。
私は、ふかふかのリーリーに体を預けながら、シャオラン、ネム、咲耶と女子トークに花を咲かせた。
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