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さようならの時
翌朝、昨日の残りのカレーを今度は自分の力で食べた。
一晩おいたカレーも、また美味しい。
「お別れ寂しいな~、最後に一枚、写真撮っていい?」
咲耶は、有無もいわさずツーショット写真ー撮ってくれた。
私の携帯は、遠の昔に充電切れでガラクタ化していたので、そのデータは貰えなかった。
「私は、モモの似顔絵とリーリーを描いてみたぜ!」
「え! やばーい!」
ネムから、リーリーに跨がっている私の絵を描いて渡してくれた。
「私は、えっと、えーっと……」
「はい、さっさと出発する!」
「えー……! コンガ師匠ー!」
シャオランも何かをしようとしてくれたが、喋るゴリラ・コンガに押されて追い出された。
またリーリーにおんぶされながら、私は山道を進み始めた。
さくさくと、草を掻き分けながら、リーリーは歩みを進める。
その一歩後ろをシャオランが続く。
他のメンバーはついては来ず、二人と一匹で進んだ。
「あ! 私からのプレゼントは、これです!」
シャオランは、竹筒を私に渡してくれた。
歩く度に、ちゃぽちゃぽと、何か液体が入っていることが分かる。
「中は、ただのお水なんだけど、この山の中で飲めるお水探すの大変なんだよ~?」
シャオランは、えへへ、と笑って続ける。
「私、咲耶みたいにグイグイいけないし、ネムみたいな特技もないけど、一応、この竹筒水筒は、自作したの!」
「シャオランも十分すごいよー!」
シャオランは、はにかんだ。
しかし、すぐに寂しそうな顔をする。
「この坂道をくだれば、コンビニもある人里だよ」
少し急な坂道をシャオランは指差した。
今までの獣道とは違い、道は舗装されている。
街灯もあるし、少し先には建物も見えた。
「私は、ここまでだから……立てる?」
「うん、大丈夫、ありがとう!」
私は、久々に自分の足で立つ。
「それと、ね……」
シャオランは、私のすぐ側に来た。
それから、何か、印を結んでいた。
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