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 会合は、まるで忘年会のような、何もかも忘れてパーッと楽しく盛り上がろうという食事会だった。誰も男女の出会いを求めている訳ではなく、純粋に新しい友達の輪を広げる目的だった。  友人の一人が、別の大学にいる仲の良い男子に声を掛けて、大学の枠を越えての会合となった。ちょうど4対4になり、結局合コンのような形となった。  孝文の第一印象は、明るく元気な盛り上げ役。ムードメーカーだった。トークも面白くて、その場をうまく回してくれた。  孝文は、松葉杖の私を気遣ってくれたのか、もしくは友人から事前に事情を聞いていたからなのか、私に特段の配慮をしてくれた。動きづらくて不便な私のために最初から最後まで私の隣に座って、オーダーしてくれたり、怪我のことを慰めてくれた。孝文自身も高校生の頃にアキレス腱を断裂した経験があり、回復に向けてのアドバイスもしてくれた。孝文は大学のサッカー部に所属していて、サッカー歴12年。ベテランアスリートとして、怪我中のトレーニング方法も教えてくれて、とても親切だった。
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