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 冷たいテーブルの上に置かれたスマホ。手にするのをひたすら我慢してかれこれ1時間。しかし、その我慢もそろそろ限界か……。  自分との戦い、互角の勝負かと思われたが、そろそろ禁断症状が現れ始めたようだ。  ついに……  私は、私に負けた。 「……あ、もしもし、孝文(たかふみ)?今ちょっといい?もう部活終わってるよね?」 「んー、……まぁ、終わってるけど…。」 「今日土曜日だし、明日何も予定ないなら久々に私のウチ来ない?最近全然会えてないし、どうかな…?今どこ?もうアパートに帰ってきてる?」 「あぁー、……まぁそんなとこ。」  今日も私から孝文に電話してしまった。私からは電話しないと決めたのに。  私は決して、付き合った彼氏と四六時中一緒に居なきゃ気が済まないというタイプではない。会えない日がしばらく続いても、何日も電話出来なくても、さほど執着する方ではない。  過去の私は、ね。  それなのに、今の私は……  一日でも彼氏の声を聞けなければ、不安でいっぱいになる。  一人の男によって、私は変わってしまった。
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