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頼み事
「おばあちゃん、何で話せるの? 頼み事って何?」
「このお彼岸の間だけ、おばあちゃんの魂とそうちゃんの魂を交換してくれないかい?」
「えっ、どういうこと? そんなことできるわけないじゃん」
「神様に頼んで許可を貰ったから大丈夫だよ。ただし、そうちゃんは私が亡くなる直前の1週間を過ごしてもらうことになるね」
「そんなことできるの……じゃあ何でおばあちゃんは僕と魂を交換しようと思ったの?」
「そうちゃんの両親にちゃんと挨拶できてなかったからしたいと思ったんだよ。あとはね、理由は言えないけどそうちゃんのためでもあるんだよ」
おばあちゃんは9年前に心筋梗塞で亡くなったのだ。特に持病があったわけではなく、暖かい春の日に急に死んでしまった。お母さんとお父さんはおばあちゃんに何もしてあげられなかった、もっと旅行にも連れて行ってあげれば良かったと言って泣いていたのを思い出した。
僕もおばあちゃんが好きだったから、子供ながらにすごく悲しかったし、もう一度おばあちゃんに会ってちゃんとお別れをしたいと思っていた。不思議だけど、こうしておばあちゃんと話していると昔に戻ったみたいでとても懐かしい。
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