3 傷を負った子猫

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 ポケットからスマホを取り出して、この辺りの動物病院を検索する。一番近くて徒歩五分先に病院がある事が分かった。すぐにそこへ電話をして事情を説明すると、「連れてきてください」と言ってくれて、そのまま夢中で病院を目指した。  子猫はすぐに先生の手に渡り、母さんも駆けつけてくれて、なんとか無事に手術を終えた。  僕の説得で、両親は子猫を飼うことを許してくれた。  手術はしたものの、片足が動かなくなってしまったことで、外へ出るのは難しくなった。だけど、またあんな恐ろしい思いはさせたくない。家の中で大切に可愛がってあげることにした。 『この子の名前は決めたの?』  母さんが優しく撫でると、子猫は喉を鳴らして嬉しそうに目を細める。撫でている背中に視線を向けると、黒い毛並みの真ん中にはっきりと白いハート模様。 『ハート!』 『あら、ほんとだ。この子、背中にハートがあるのね』 『じゃあさ、ハートでいいんじゃない?』 『そうね、素敵な名前』  兄弟のいなかった僕は、ハートを弟のように可愛がった。ハートもいつも僕のそばにいてくれた。「行ってきます」と「ただいま」に、毎日「にゃー」と鳴いて返事をくれた。
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