雪の日は別れの日

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 幼稚園の頃からずっと仲が良かった六花は、高校生の冬、親の転勤に合わせて引っ越すことが決まった。 「嘘だよね?」  ずっと一緒にいた友だちと離ればなれになる。  数日間はその事実を受け入れられず、六花に毎日繰り返し問いかけて困らせた。 「本当だよ、ごめんね」  六花はその度に根気良く答え続けてくれた。 「そっかぁ」  とうとう現実を受け入れた私が泣き出すと、六花も涙をぽろぽろとこぼした。  抱き合って泣いた後、違和感の残るまぶたを冷たい手で冷やした。  ひとしきり泣いて気持ちが落ち着くと、公園に立ち尽くして2人揃って手で目を冷やしているのがなんだかおかしくなってきた。どちらからともなくクスクスと笑い出し、少しスッキリして家に帰った。  お別れの日は雪の日だった。時々晴れ間も見えたけれど、雪は降り続けていた。  お見送りに行くと、家の前の雪で遊んでいた六花はすくっと立ち上がり、私に歩み寄った。会いたい時にはいつでも会えた日常は、今日で終わりになる。 「元気でね。また会おうね」  六花のこげ茶の瞳を見つめながら、再会を約束する言葉を口にした。 「絶対に、また遊ぼうね!」  六花はにっこりと微笑んだ。
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