19人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
幼稚園の頃からずっと仲が良かった六花は、高校生の冬、親の転勤に合わせて引っ越すことが決まった。
「嘘だよね?」
ずっと一緒にいた友だちと離ればなれになる。
数日間はその事実を受け入れられず、六花に毎日繰り返し問いかけて困らせた。
「本当だよ、ごめんね」
六花はその度に根気良く答え続けてくれた。
「そっかぁ」
とうとう現実を受け入れた私が泣き出すと、六花も涙をぽろぽろとこぼした。
抱き合って泣いた後、違和感の残るまぶたを冷たい手で冷やした。
ひとしきり泣いて気持ちが落ち着くと、公園に立ち尽くして2人揃って手で目を冷やしているのがなんだかおかしくなってきた。どちらからともなくクスクスと笑い出し、少しスッキリして家に帰った。
お別れの日は雪の日だった。時々晴れ間も見えたけれど、雪は降り続けていた。
お見送りに行くと、家の前の雪で遊んでいた六花はすくっと立ち上がり、私に歩み寄った。会いたい時にはいつでも会えた日常は、今日で終わりになる。
「元気でね。また会おうね」
六花のこげ茶の瞳を見つめながら、再会を約束する言葉を口にした。
「絶対に、また遊ぼうね!」
六花はにっこりと微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!