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引っ越してからちょうど季節が一周した昨日、六花は新しい友人の麻那さんとその妹の紗那ちゃんの2人と、雪遊びに出かけた。
麻那さんと紗那ちゃんのお母さんは外せない用事があったらしく、麻那さんが7歳の紗那ちゃんの面倒を見ることになっていた。子ども好きの六花は、麻那さんと一緒に紗那ちゃんと遊ぶことを快く承諾したらしい。
『雪だるまを作ったり雪合戦をしたりしようかな』
一昨日、六花は私にメッセージで生き生きとそう語った。文面から楽しみにしていることが伝わってきた。
『楽しんでね! 何をしたか、帰ってきたら教えて!』
『もちろん!』
それが私のスマホが受信した六花からの最後のメッセージになった。昨日メッセージが来なかったのは、疲れて寝てしまっただけだと思っていた。
実際は、私がそんなことをのほほんと考えている時には彼女はとっくに命を落としていた。
3人で雪だるまを作っていた時のこと。
急に黒いコートを着た男が近づいてきた。
そして、鼻歌まじりに雪を固める紗那ちゃんに向かって、鈍く光る包丁をブンと振り下ろしたのだ。
白い世界を鮮やかに染め上げたのは、六花の赤だった。
麻那さんの悲鳴が冷たい空気を切り裂いた。
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