『第二部 比翼連理 第四章 昏惑の迷図より』のあらすじ

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『第二部 比翼連理 第四章 昏惑の迷図より』のあらすじ

 この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第二部 比翼連理 第四章 昏惑の迷図より)』( https://estar.jp/novels/26181861 )の続きとなっております。  また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第一部 落花流水 第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。  よろしくお願いいたします。 〈(ムスカ)〉の潜伏先は、王族(フェイラ)所轄の庭園だった。しかも、〈(ムスカ)〉の背後にいるのは、この国の事実上の最高権力者『摂政』であることも判明し、迂闊に手を出すことができない鷹刀一族は、悶々とした日々を過ごしていた。  リュイセンにプロポーズされたものの、返事ができずにいたミンウェイは、ひとり思い悩んでいた。そこにリュイセンが現れ、「プロポーズはなかったことにして欲しい」と告げる。 「ミンウェイを困らせただけだった」と彼は言い、「愛している」と囁いて去っていった。  一方、〈(ムスカ)〉は――。  二ヶ月前。熱暴走が止まらなくなり、死に直面した〈(サーペンス)〉――〈天使〉のホンシュアは、〈(ムスカ)〉に重要なことを告げていた。  この国で王になれるのは〈神の御子〉の姿をした者のみ。そのため、〈神の御子〉が生まれず、王家が断絶の危機に陥ったとき、王の私設研究機関である〈七つの大罪〉は『過去の王』の遺伝子を使ってクローンを作る。――これは決まりである。 〈(サーペンス)〉は「女王に頼まれた」と言って、『目が見える』『王の力を持たない』という特徴を持った『特別な王』を作るように〈(ムスカ)〉に依頼した。  そもそも『〈(ムスカ)〉』という存在は、『特別な王』を作れるのは『死んだ天才医師〈(ムスカ)〉』しかいないと考えた〈(サーペンス)〉が、『蘇生』の技術を使って作り出した『もの』だった。『蘇生』といっても完璧ではなく、五十路近い肉体に、三十代の記憶を入れるという不完全なものである。それは、ちょうどよい肉体を用意できなかった〈(サーペンス)〉が、生前の〈(ムスカ)〉の研究室に遺されていた『時間と共に老いていく、彼と妻』の肉体を見つけ、そのうちの彼のほうを使ったためだった。 〈(ムスカ)〉に『特別な王』を作ってもらいたい〈(サーペンス)〉は、『〈(ムスカ)〉のオリジナルであるヘイシャオは、鷹刀イーレオに殺された』と嘘を教えた。そして、復讐を手伝う代わりに『特別な王』を作って欲しいという取り引きを持ちかけたのだった。 『特別な王』の研究を進めていくうちに、〈(ムスカ)〉は素材として渡された遺伝子が『過去の王』のものではないことに気づき、『彼』が何者であるかを察し、〈(サーペンス)〉の正体が鷹刀セレイエだと見抜いた。そして、『特別な王』を望んでいるのは女王ではなく、〈(サーペンス)〉自身だと悟る。  死の間際になって「鷹刀イーレオがオリジナルを殺したというのは嘘」と明かした〈(サーペンス)〉に対し、〈(ムスカ)〉は「鷹刀を大切に思っているにも関わらず、鷹刀を巻き込んだ理由は、『藤咲メイシアを鷹刀の屋敷に送り込む』必要があったからだ。あの娘には、何が隠されているのだ?」と詰め寄る。 〈(サーペンス)〉は「『〈(ムスカ)〉』に言うべき情報ではない」と言いつつ、〈(ムスカ)〉の耳に何かを囁き、「『あなた』の最期が安らかであることを願う」と言い遺して、この世を去った。  斑目一族の不興を買った末に、命まで狙われる羽目になった斑目タオロンは、〈(ムスカ)〉に(かくま)われる生活を送っていた。 〈(ムスカ)〉は、タオロンが逆らえないようにするために、娘のファンルゥに腕輪を付けさせた。ファンルゥ本人には『部屋から脱走しようとすると、音が鳴る腕輪』と説明してあるが、実は『〈(ムスカ)〉のリモコンで毒針が飛び出す腕輪』であった。  ある日、〈(ムスカ)〉は、タオロンたち私兵に通達する。「この館の持ち主である摂政が、貴族(シャトーア)の藤咲ハオリュウを招いて、ここで会食を開く」――と。  摂政に会食に招かれたハオリュウは、鷹刀一族に対し、『車に隠れて、〈(ムスカ)〉のいる庭園に侵入する』作戦を提案した。『脱出については、タオロンに頼るしかない』という作戦だったが、満場一致で受け入れられ、ルイフォンとリュイセンが行くことに決まった。  しかし、そもそも『何故、ハオリュウが摂政に招かれたのか』。罠ではないかと恐れるルイフォンたちにハオリュウは強がるが、最終的には、同じ館に入るルイフォンたちに援護を頼んだ。  また、足の悪いハオリュウの介護者として乗り込む者は緋扇シュアンと決定し、問題の庭園への侵入、そして〈(ムスカ)〉捕獲の作戦が定まった。
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