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「それならば、良い案がある。」
ニヤリとした笑みを浮かべた土方を、近藤が驚いた顔で見つめる。
「良い案とは何だ、トシ。」
近藤の質問にさらに笑みを深くすると、土方は沖田に顔を向ける。当の沖田も土方の魂胆が読めないらしく、首を傾げて近藤を見た。
「いるだろ、この家にひとり。頼みやすい女がな。」
その言葉に、近藤は「あぁ」と声を漏らし、沖田は呆れたような顔で正座していた足を崩し、胡坐をかいた。
「勘弁してくださいよ、土方さん。」
「どうせ、こいつの着物も必要だろう。そのついでだ。」
「嫌ですよ。土方さんが行ったらいいじゃないですか。」
「俺では駄目だ。」
永遠と続く土方と沖田の押し問答に、凪は黙ってそれを見つめ、近藤は「まぁまぁ」と仲裁に入る。
「総司よ。ここは俺の顔を立てて、トシの言うことを聞いてやってはくれないか。」
「近藤さんまで…」
「ほら、凪さんを見ろ。困っているだろう。人助けも我らの仕事だ。」
沖田が凪を見つめた。本当に嫌なのだろう。じとりとした目に、凪は慌てて頭を下げる。
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