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「…分かりましたよ。」
「偉いぞ、総司!」
「近藤さんに免じて、今回だけです。」
しぶしぶ沖田は立ち上がると、近藤たちに背を向け、襖に手をかける。
「上手くやれよ、総司。」
土方のからかいを含んだ言葉に、沖田はひとつ溜息をつくと、
「行きましょう、凪さん。」
凪を連れ立って、部屋を出て行った。
部屋に残っていた山崎を退出させ、土方は、近藤の前に静かに腰を下ろした。
「すまなかった、局長。」
頭を下げる土方に、近藤が腕組みをして外していた視線を彼に戻す。
「どういうつもりだ?」
「話を合わせてくれたこと、感謝する。それと、あいつをここに置くよう仕向けてくれたこともな。」
「何か考えがあるのだろうと思った。だから、そうしたまでだ。」
近藤の言葉に、土方はフッと笑みを零す。
「さすが、かっちゃん。俺のことは何でもお見通しだな。」
自身の昔の名(勝太)が土方の口から出たことに、近藤は、ふと懐かしむように目元を緩めた。
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