第三話 嫉妬

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僕は、早起きをするつもりがなかったけど、 時間に余裕が出来たから、昨日より早い電車に乗る事にした。 昨日は、遅刻ギリギリだったから、今日は気持ちに余裕があった。 改札を抜けて、ホームに着くと、そこには見覚えのある人物がスマホをいじりながら、電車が来るのを待っていた。僕は驚いて声をかけた。 「おはようございます…。 原咲さんも電車ですか?」 「えっ?あっ、ああ。澤井くん! おはよう。君もこの駅なんだね。 驚いた。もしかして家も駅近?」 「あっ、はい。この駅から歩いて十分ぐらいなんです。原咲さんも駅近ですか?」 「うん。俺も十五分ぐらいかな。 じゃあ、家も近そうだな。 随分早い時間に乗るんだな? 俺は、今日朝一番で配送があるからこの時間だけど、いつもは一時間後だぞ。」 「昨日は遅刻ギリギリだったので、 早めに出ようと思いまして…。 でも、ちょっと…早過ぎたかもです。」 「そうなのか? あっ、そういえば昨日言ってた痴漢の話し、 この駅なの?健太もここが最寄り駅だから、 そうかなって思って…。」 僕は、それを聞いて嬉しくなった。 自分の推しが同じ街に住んでいたなんて、 嬉し過ぎて踊りたくなるぐらいだった。 「そうなんですか?花田さんもこの駅なんですね!ヒーローと一緒なんて、嬉しいです。 痴漢を捕まえた駅は会社の近くの駅ですよ。」 「そうなんだ。 ここじゃないんだな。 ここは、俺と健太が出会った街なんだ。 お前にとってのヒーローは、俺にとっても ヒーローだから。」 「えっ?それは…どういう意味ですか?」 原咲さんは、嬉しそうな表情を浮かべた。 その表情を見て、僕は嫌な予感を感じていたんだ。
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