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僕は、早起きをするつもりがなかったけど、
時間に余裕が出来たから、昨日より早い電車に乗る事にした。
昨日は、遅刻ギリギリだったから、今日は気持ちに余裕があった。
改札を抜けて、ホームに着くと、そこには見覚えのある人物がスマホをいじりながら、電車が来るのを待っていた。僕は驚いて声をかけた。
「おはようございます…。
原咲さんも電車ですか?」
「えっ?あっ、ああ。澤井くん!
おはよう。君もこの駅なんだね。
驚いた。もしかして家も駅近?」
「あっ、はい。この駅から歩いて十分ぐらいなんです。原咲さんも駅近ですか?」
「うん。俺も十五分ぐらいかな。
じゃあ、家も近そうだな。
随分早い時間に乗るんだな?
俺は、今日朝一番で配送があるからこの時間だけど、いつもは一時間後だぞ。」
「昨日は遅刻ギリギリだったので、
早めに出ようと思いまして…。
でも、ちょっと…早過ぎたかもです。」
「そうなのか?
あっ、そういえば昨日言ってた痴漢の話し、
この駅なの?健太もここが最寄り駅だから、
そうかなって思って…。」
僕は、それを聞いて嬉しくなった。
自分の推しが同じ街に住んでいたなんて、
嬉し過ぎて踊りたくなるぐらいだった。
「そうなんですか?花田さんもこの駅なんですね!ヒーローと一緒なんて、嬉しいです。
痴漢を捕まえた駅は会社の近くの駅ですよ。」
「そうなんだ。
ここじゃないんだな。
ここは、俺と健太が出会った街なんだ。
お前にとってのヒーローは、俺にとっても
ヒーローだから。」
「えっ?それは…どういう意味ですか?」
原咲さんは、嬉しそうな表情を浮かべた。
その表情を見て、僕は嫌な予感を感じていたんだ。
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