第三話 嫉妬

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会社に着いて、僕は扉を開けた。 まだ、出勤時間の一時間前だったから、 事務所には誰も居なかった。 僕は更衣室に向かった。 すると、更衣室には花咲さんと青田さんが 居て、着替えをしていた。 「あっ、おはようございます。」 「おう、遅かったな? ホームに居なかったから、先に来てたぞ。 どこに行ってたんだ?」 「あっ、はい。 まだ、早いと思ってカフェに行ってました。 朝から優雅に過ごしてました。」 「へぇ…。新人くんは余裕があっていいな。 俺たちなんて、これから急ぎの配送だぞ…。 青田さんなんてな、めっちゃくちゃ遠くから来てるんだぞ!毎日朝が早いんだぞ! お前も、青田さんを見習いなさい。」 青田さんの家は横浜で、会社があるのは、 千葉県だ。 毎日、車で二時間かけて通っているそうだ。 「地元が横浜なんだ。 配送業が好きでね。車も運転するのは嫌いじゃないから、俺は楽しんでるよ。 社長には世話になってるし、この職場が 俺には心地良いんだよな。」 「そうなんですね。 皆さん、とても素敵ですよね! 僕も、早く免許取りたいです! 運転して、早く仕事覚えたいです。」 僕達が話していると、更衣室に花田さんと桜井くんが入って来た。 二人はとても、親しげに話をしながら入って来た。僕はそれを見てちょっと胸がチクリと痛んだ。それが嫉妬だと気づいたのはもう少し先の事だった。
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