第三話 嫉妬

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働き出して五日目、今日は土曜日。 僕と桜井くんの歓迎会の日だ。 昨日は、凄くいい事があって、僕は朝から浮かれていた。 初めて人の役に立つ事が出来たからだ。 昨日の夕方、事務所で事件が起きた。 「えっ?注文していた花と違う物が届いた? はい…。そうでしたか…。 はい、申し訳ありません…。 確認して直ぐに折り返しお電話致します。 申し訳ありませんでした。」 それはクレームの電話だった。 事務の中居さんが慌てて電話を切った。 「フラワーショップ橘の配送行ったの誰? 今、クレームがあって注文した物と違う物が届いたって連絡あったんだけど…。」 「あっ、それ、今朝確認しましたよ。 確か、花田さんのチームですよ。」 僕は自分の仕事を終えて、青田さんと一緒に、事務所で書類の整理をしていた。 僕は、毎朝ヒーローの様子を確認している。 どこに配送へ行くのかも、チェックしていた。 中居さんは、花田さんの携帯に電話をかけた。 確認した所、配送先の伝票に誤りはなかったそうだ。 そうなると、注文した時に問題が発生したのかもしれない。僕は青田さんと一緒にフラワーショップ橘に確認を取りに行く事になった。 橘の店長はかなりご立腹だった。 「どうしてくれるんですか? 15種類の花を発注したの。 でも、1種類だけ別の物が届いたんです。 私が注文したのはガーベラなんですよ。    どうして、薔薇がこんなに届いたんですか? 明日、大事なお客様がガーベラを取りに来る事になっているんです。 ガーベラがないと困るんですよ…。」 「大変申し訳ありません…。 ガーベラですか…。あいにくガーベラは 倉庫に在庫がなくて…。」 青田さんは困っていた。 僕はある事を思い出した。 「あっ、僕…。親戚に花卉栽培者が居るんです。 その人の家ならガーベラ育ててると思います。 すぐ近くなんで、連絡してみますね。」 僕は親戚の叔父さんに連絡を取った。 「もしもし!叔父さん?お久しぶりです。 ちょっと仕事で、近くに来てて。 トラブルがあって、助けて欲しいんです。 叔父さんの所でガーベラって育ててますか? あっ、はい。 えっ、本当ですか?じゃあ今から伺います! よろしくお願いします。」 叔父さんの所では、ガーベラを育ててる事が分かった。僕は大喜びをした。 「ガーベラあるそうです! 今から取りに行くので、もう少しだけお待ち頂けますか? ちなみにガーベラの色は何色が必要ですか?」 「そう、それは良かったわ…。 あなたの叔父さんってもしかして澤井花卉農園 さん??」 「あっ、はい。そうです。 ご存知なんですか?」 「勿論、知ってるわ!澤井さんにはいつもお世話になってるもの。 そう…あなた、澤井さんのご親戚なのね。 澤井さんの所なら安心よ! ちなみに、ガーベラの色はピンクと黄色が入っていれば嬉しいわ。」 「あっ、はい。分かりました。 ピンクと黄色ですね。 ちなみに澤井花卉農園は、僕の父の実家なんですよ。」 橘の店長さんは、僕の親戚のお陰で、機嫌を直してくれた。 僕達は、ガーベラを直ぐ取りに行って、 無事に問題を解決する事が出来た。
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