第五話 戸惑い

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トラックに揺られながら、僕は青田さんの事が心配になって、原咲さんに声をかけた。 「青田さん…。大丈夫かな…。 心配ですね…。」 「そうだな…。青田さんにはいつも世話になりっぱなしだから…仕事落ち着いたら見舞いに行こうかな…。」 「そうですね…。僕もお見舞いに行きたいです。」 「じゃあ…今度の土曜日に一緒に行くか?」 「あっ、はい。行きましょう!」 僕は何気なく約束してしまったが…。 これはつまり…二人っきりで出かけるという事だった。 お見舞いという名のデートではないかと 心の中で思ってしまったんだ…。 (どうしよう…。やっぱりやめるなんて 言えないし…。告白の返事もしてないのに 一緒に行けるのか? あぁ…。参ったなぁ…。) また、僕の心は複雑になっていた。 人数が足りなかった事もあって、配送の仕事は夜中まで続いた。 全員疲労はピークに達していた。 僕もクタクタで頭が朦朧としていた。 そして、僕は更衣室で倒れてしまったんだ。 (あぁ…何だろ…温かいな…。 まるでふわふわな毛布の中にいるみたいな… 不思議な気持ち…。) 僕はゆっくり目を開けた。 すると何故か目の前には原咲さんの顔が 合ったのだ。 (えっ??こっ、これは一体?どういう事⁈ 何が起きてるの?) 「あっ、澤井くん?気がついた?大丈夫か?」 原咲さんの顔が近過ぎて僕はドキドキしていた。何故か僕の頭を撫でている…。 僕は夢でも見ているのだろうか? なんと、僕はタクシーに揺られながら原咲さんの膝の上で寝ていたのだった。
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