第六話 揺れる想い

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「今日は、仕事休んだほうがいい。 会社には俺から言っておくから安心しな。 ゆっくり休めよ! じゃあ、俺は仕事行くよ!」 原咲さんは僕を家まで送ってくれた。 原咲さんの家から僕の家は5分程度の距離で、 すごく近かった。 「原咲さん、本当にありがとうございました! 今度何かお礼させて下さい!」 原咲さんは笑顔で手を振ってくれた。 その笑顔が可愛いくて、僕は思わずキュンとなってしまった。 (キュン…。してる…?) このキュンの意味がなんなのか、この時の僕には何も分かっていなかった…。 次の日僕はすっかり元気になって、会社に出勤した。 更衣室で着替えていると、同期の桜井くんが声をかけて来た。 「澤井くん!おはよう!もう大丈夫なの?」 「あっ、おはよう!昨日は休んでごめんね。 仕事大変だったでしょ?」 「あー、俺は全然大丈夫だよ。運転出来ないし 役に立ってないからさ…。 でも、原咲さんが心配かも…。昨日、君の分の仕事もこなしてたからさ…。 青田さんも居ないし、2倍は働いてたと思うよ。ってかこの前の原咲さんめっちゃくちゃ、かっこよかったよ! まるでドラマのワンシーンでも見てるのかと思ったぐらいだよ!」 「えっ?原咲さんが? 大丈夫かな…。僕…ちゃんとお礼言うよ。 でっ、そのドラマみたいって何の事?」 「あー、君は倒れた本人だから覚えてないか… 気を失ってたもんな…。 君が倒れかけた瞬間、原咲さんが君を抱き抱えてさ、お姫様抱っこしてタクシーまで運んでたんだよ。 それが、マジで王子だったわけよ! 花田さんも逞しくてイイけど、原咲さんも爽やかで、カッコいいよな! うちの、会社はヒーローだらけだよな!」 それを聞いて僕はまた、ドキドキしていた。 原咲さんは僕を助けてくれていた。
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