最終話 僕のヒーロー

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僕は、自分の本当の気持ちに気づいた。 人は、何度も間違う。その度に成長する生き物だ。迷い、悩んで辿り着いた先が幸せだと気づいたらそれを貫けばいい。 花田さんは、大切な事に気づかせてくれた。 僕は、居酒屋に戻った。 そして、勇気を出して原咲さんに声をかけた。 「話したい事があります。 ちょっとだけ、僕の話を聞いて下さい。」 居酒屋に居た皆んなは、突然の僕の行動に驚いていた。でも、一番驚いたのは原咲さんだったと思う。 僕は、原咲さんを外に連れ出した。 そして、しばらく二人で歩いた。 歩いていると、小さな公園があって僕はそこに入った。 公園には自動販売機があり、僕は温かいコーヒーを二本買って、一本を原咲さんに手渡した。 原咲さんはずっと黙っていた。 「突然…連れ出してすみませんでした…。 僕…ずっと考えていました。 どうして、原咲さんが目を逸らすのかを…。 僕と目を合わせてくれないですよね? 原咲さんは誤解をしています。 僕は…花田さんとは付き合っていません。 確かに…キスはされました…。 それは、嘘ではないです…。 でも、僕は、花田さんとは付き合ってないんですよ。だから…誤解して欲しくないんです。」 原咲さんは黙ったまま、下を向いてやっぱり目を合わせてくれなかった。 そして、話し始めた。 「でも、キスしたんだろ? キスされて嬉しかったんだろ? だったら、別に俺に誤解されようが、関係ないんじゃないか? だって、君が好きなのは健太なんだから…。 付き合えばいいんじゃないか? 俺の事は気にしなくていいって言っただろ? 話はそれだけ? だったら、俺はもう行くよ…。」 原咲さんはずっと目を逸らしたまま、立ち上がり帰ろうとした。僕は原咲さんの態度が許せなかった。またモヤモヤして苦しくて、 僕は気づいたら涙を流していた。 「どうしてですか…。僕の話をちゃんと聞いて下さい。目を逸らさないで下さい。 僕の目を見てよ…逃げようとしないで… お願いですから…僕をちゃんと見て下さい。 僕は…僕の本当のヒーローは… あなたなんですよ! 原咲さん!僕は…あなたの事が好きです。 だから…あなたに誤解されたくないだ! 花田さんの事は、好きだけど、憧れだって事に気づいたんです。 僕の心が揺れ動くのは、あなただけなんだ。 あなたの言葉や態度が僕の心に響いて離れない。それは、僕の心があなたを求めているからなんです。 あの日…原咲さんの家で、あの写真を見た時 胸がチクりと痛くなりました。 それは、幸せそうな原咲さんの笑顔が眩しくて 手を繋いでいたのが、許せなかったからです。 花田さんと付き合ってるんだろって言われて 僕はムッとなって、モヤモヤしたんです。 それは、原咲さんには誤解して欲しくなかったからです。 原咲さんが、さっき居酒屋で桜井くんに肩を回していた時、やっぱりモヤモヤして、心がおかしくなりそうでした。 僕は、原咲さんの笑顔を見たらキュンってなるんです。 僕の心が動くのは、全部全部、原咲さんなんです。 原咲さんに誤解されたままじゃ嫌なんです。 僕は…原咲さんの笑顔が好きなんです。 僕が倒れた時助けてくれたのは原咲さんなんです。僕の何倍も働いてくれたと桜井くんから聞きました。 僕が辛い時、苦しい時、寄り添ってくれたのは 原咲さんなんです。 僕と向き合ってくれるまで、何度だって言います。 僕の好きな人は原咲さんです。 僕の本当のヒーローは原咲さんです。 だからお願いです。 もう一度僕を見て下さい。 目を逸らさないで、僕を見て…。」 原咲さんは後ろを向いたまま、僕の話を 黙って聞いてくれた。 微かだけど、原咲さんの肩が揺れて泣いてるような気がした…。
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