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第二話 恋心
恋、それは相手を好きだと思う、特別な気持ち。思いこがれる気持ち。
僕はあの瞬間から、彼に好意を抱いていたのかもしれない。
「何だ?君?急にどうしたんだ?
ヒーローとは何だね?
まさか、もう知り合いなのか?」
僕の突然の言葉に、皆んな呆気に取られたような顔をして僕を見ていた。
小野寺さんは、その男性に目を向けている。
その男性は、不思議な顔をしていた。
「えっ?誰ですかこの子?俺は全くの初対面なんですが…。
君、俺の事…何か知ってるの?」
皆んなは、僕の顔を見て不思議そうにしていた。だから、僕は今朝の出来事を慌てて説明した。
「あの、実は今朝、駅でたまたま見かけたんです。この方が痴漢を捕まえているお姿を…。
それが…痴漢が逃げている所を、すかさず追いかけて腕を掴んで、こうやって背負い投げして倒し、そのまま馬乗りしてて、それがなんて言うか、刑事ドラマを観ているようで…とにかく
とってもカッコ良かったです。
だから…つい興奮してしまって…叫んでしまいました。
驚かせてしまい、申し訳ありません…。」
僕は、身振り手振りを交えて、皆んなに説明をした。すると、皆んなは大きく頷き、納得をしてくれた。
「何だ!そうだったのか!
それで、健太の事知ってたのか!
なるほどな。だから、遅れて来たわけか!」
小野寺さんも、納得した顔で笑っていた。
「君、あそこに居たんだね。
恥ずかしい所見られちゃったな…。」
「えっ?何でですか?恥ずかしがる事なんて
してないじゃないですか!
むしろ、誇るべきです。
だって、あなたはヒーローですよ!
あんな事、やろうと思っても出来る事じゃないです。あなたはとても勇敢なヒーローです。
僕にはそう見えましたよ!」
「いや…それが恥ずかしいんだって…。
もういいから…。やめてくれ…。」
その人は、顔が真っ赤で、とても恥ずかしそうに、小さくなっていた。それが、また僕の心を鷲掴みにして、離さなかった。
(なんだ…。この人は…。かっ、可愛い…。)
「そんなに、凄かったのか?
それは、俺も見たかったな!
さすが、健太だな。
あっ、そう言えばちゃんと紹介していなかったな。今日から、働いてもらう事になった、
澤井賢哉くんと桜井恭平くんだ。
それから、こっちのヒーローとやらが、
花田健太だ。
社長の息子さんだよ。」
「えっ??社長の息子さんなんですか?
それは、驚きです!
社長さんに、息子さんがいらしたんですね。
あっ、そう言えば、今日社長はいらっしゃらないんですか?」
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