無人島へ――

5/9
前へ
/31ページ
次へ
大きな波の塊がA達の乗る船の横腹を殴った。 大きく船がゆれる。 「いってぇ、、、」  その拍子にCはドスッという音と共にうたた寝していた非常ボートの上から転げ落ちた。 「いったいなに?!」 Dも大きな揺れに異変を感じたのか、間もなくして簡易部屋から出てきた。 Aは船自体に寝転がっていたため、揺れはあるものの衝撃がなかったようで、眠ったままだった。 「A!起きろ!」 BがAに大きな声で呼び掛けると、Aはゆっくりと起き上がった。 「おおっと」 船が再び大きく揺れ、Aがよろめき、甲板から落ちそうになる。 「危ないっ!」 Dが叫んだ。Cは転げ落ちた場所から立ち上がり、慎重にBの元に行く。 「大丈夫!」 Aは甲板の鉄柵に捕まり体制を整えた。 「嵐だ」 Bが遠く指差した先は暗雲に稲妻がまばゆい光りを放っていた。 「音は聞こえない!まだ大分離れてる」 AがBに言う。 「なんとか嵐を避けれないのか?」 Bの横まで歩いて来たCが言った。 「どうだろ。既に波が激しくてほとんど舵がきかない」 Bは舵を少し離しただけで、激しい海流に押されて無理矢理曲げられた舵の力で、逆に操舵するハンドルが激しく回転しだした。 「いったいどうなるの?!」 Dが嘆くように言う。 「わかんない」 Bは勝手に回転する舵を抑えつけ、雷雲を睨みつける。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

509人が本棚に入れています
本棚に追加