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大きな波の塊がA達の乗る船の横腹を殴った。
大きく船がゆれる。
「いってぇ、、、」
その拍子にCはドスッという音と共にうたた寝していた非常ボートの上から転げ落ちた。
「いったいなに?!」
Dも大きな揺れに異変を感じたのか、間もなくして簡易部屋から出てきた。
Aは船自体に寝転がっていたため、揺れはあるものの衝撃がなかったようで、眠ったままだった。
「A!起きろ!」
BがAに大きな声で呼び掛けると、Aはゆっくりと起き上がった。
「おおっと」
船が再び大きく揺れ、Aがよろめき、甲板から落ちそうになる。
「危ないっ!」
Dが叫んだ。Cは転げ落ちた場所から立ち上がり、慎重にBの元に行く。
「大丈夫!」
Aは甲板の鉄柵に捕まり体制を整えた。
「嵐だ」
Bが遠く指差した先は暗雲に稲妻がまばゆい光りを放っていた。
「音は聞こえない!まだ大分離れてる」
AがBに言う。
「なんとか嵐を避けれないのか?」
Bの横まで歩いて来たCが言った。
「どうだろ。既に波が激しくてほとんど舵がきかない」
Bは舵を少し離しただけで、激しい海流に押されて無理矢理曲げられた舵の力で、逆に操舵するハンドルが激しく回転しだした。
「いったいどうなるの?!」
Dが嘆くように言う。
「わかんない」
Bは勝手に回転する舵を抑えつけ、雷雲を睨みつける。
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