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四人は入念にボートをチェックする。行きの船と比べると若干頼りなくはあるが、無人島を脱出するには十分そうだった。
しかし、一点だけ問題があった。食糧、水といったライフラインを積み込むと、どう考えても、三人乗り込むのが限界だった。
辺りを赤く染めていた夕日は水平線に消え、夜が迫っていた。
三人しか乗ることができないという現実が四人の上に重くのしかかった。
「暗くなって着たし、一先ず明日考えよう」
誰かが提案した。全員、黙って頷いた。
その日の夜の食事はとても暗いものとなった。サバイバル生活の疲れが出ている点ももちろんあるが、三人しか乗ることができないボート。一人だけ島に残らなければいけないという事実が四人の口を塞いでいた。
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