会いたい

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 だけど、そう祈るたびにあなたの顔が脳裏に浮かんできて――。 『んなことより、ちゃんと飯食えよ』 『孫たちのこと、しっかり育てろよ』  そう言われている気がして、もう叶わないのに“会いたい”と願う私の心が、徐々に救われていく。    そうだった。あなたは自分が家族から心配されると、話を逸らす性格だった。  決して弱みをみせない、少々頑固な昭和の人間。  そのせいで家族が困ることもあったけれど。  それは多分あなたなりの照れ隠しであり、心配かけないという家族への気遣いだったことに、ようやく気づけるようになった。 「……うん。ありがとう、お父さん」  だから私は、あなたと母の子供に生まれて本当に良かったと思っている。  あなたの体と魂は、もうこの世にはないけれど。  この世に存在していた“証”は、しっかりと受け継がれている。  あなたが育てた子供たち。  そして、あなたが大好きだった孫たちの血となり肉となり、記憶となって――。  fin.
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