竜の言祝

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時を超えて 世を照らして 星は急ぐ(少しでも早くきみに届くように) 声を懸ける 声は駆ける 全人類今すぐに さあ命の音を鳴らせ 竜は謳う 竜は詠う 竜は歌う 地球の素敵なところ 宇宙の中に今僕がいる奇跡 この星の端から端まで 美しいものばかりじゃないけれど それでも愛せると思った だってここがふるさとなんだ ここに居られてよかった。 竜の心 竜の体 なにかがはがれていく 一枚一枚 大切に 花びらがひとひらずつ落ちてゆく きみを叫ぶ 名前を見つける 蝉がまた一匹死んで 花がまたひとつ生まれる 枯れた私の痕を月の光が 萎れて消えた人の影を泡沫(ほうまつ)が なぞって包んで 抱きしめててのひらに消して いつかこの世から いたことすらも忘れられるけれど 竜は繋ぐ 竜は紡ぐ 竜は落とす 竜は拾う 竜は歩き 竜は休み 竜は数え 竜はやめる 竜ははじめ 竜は終わる 竜は 竜は 竜は 僕は 私は 人は 祝い、咲き、幸せに―― さあ、寿げ 竜は言葉を離そうとして 言葉なしじゃ人は 生きていけないと気づく 一輪の花を摘んで 青空の真ん中に浮かぶ 太陽にかざした 確かに風が吹いた
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