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初めての担当
「私の担当は、どこだー?」
私こと、中級フェアリーにして初代フェアリーゴッドマザーの孫、ティナは、
協会から渡された、担当の報告書を開き、読みふけっていた。
丁寧に調査された報告書には、
「姫川 手洗(ひめかわ ティアラ)。
6歳。
ピンク色の髪に、キラキラ星が宿った瞳。
ツインテールがトレードマーク…
時々、何もないところに話しかける奇行が目立つ…」
と続いている。
「なんだこれは!?子供!?
そしてどうやってティアラって読むんだよ!
それに、奇行が目立つってなんなんだ!報告書ふざけてんの!
そもそも、こんな特徴だらけのやつ、妖精界にも天界にすらいないわ!
地球になんて、いるわけないでしょ!?」
バシャンッ。
思わず、壁に投げつけてしまった。
私は、このツッコミどころ満載の報告書を当てにしないことに決めた。
とりあえず、私はフラフラと河川敷の辺りを飛び回った。が、じきに疲れたので、ベビーカーを押す母親らしき人の頭上に乗ることにした。
我ながら、よき乗り物を手に入れたものだ。
普通の人間には、妖精たる私を認識できないのだから。
ふと、橋の下で何やら話し声が聞こえた。
「おてては綺麗に!キラキラ輝け!
みんなのアイドル、姫川ティアラ!」
鏡を前に華麗なターンを決めた少女は、満足気にポーズを決めていた。
聞き覚えのある名前…。もしやと思い、そっと近づいてみる。
「んん!?」
そこには、まさに報告書通りの少女がいた。
ピンク色の髪が、綺麗にカールしていて、目には星が宿っているかの如く輝いている。
その瞳が、私をじっと見つめていた。
少女は、ズカズカとこちらに近づいてくる。
「あなた、もしかして私の妖精さん!?もう、遅かったじゃない!随分ちっちゃいのね!これで、やっと私もピュアキュアになれるのね!やっぱり主人公役のピンクかしら?いや、水色のお姉さん役も捨てがたいっ!」
「小さいは余計だ!」
まだ15センチにも満たない私の身長をついてくるとは、なかなかやるな。
「それはそうと、妖精さんは…」
私の話は聞かずに、この少女は、何やら妄想話を続けている…。まさに妄言だ。
しかし、どうやら、私のことがバッチリ見えているようだ。
残念ながら、見間違いだとは思ってくれなかったらしい。
…明らかに奇行が目立つ、ピンク色の女の子。
この子が、今回の担当か。
「はあーー。」
私は、早速行く末が思いやられる、初めての私の担当に、大きくため息をついたのだった。
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