24人が本棚に入れています
本棚に追加
作戦決行
「ティアラ!」
約束の時間、私は昨日の河川敷の橋で、ティアラを待っていた。
「妖精さん、お待たせ!なんか顔色悪くない?」
ティアラが心配そうに差し伸ばした、小さな手に座り込む。
「大丈夫大丈夫。ただの二日酔いだから。」
私は、しゃがれた声で答えた。
ラーファエルとあのまま飲み明かした結果、私を寝不足と二日酔いのダブルコンボが襲っていた。
「ふつかよい?ってなあに?」
まだ6歳のティアラには、わからないか。
「二日酔いっていうのは…、えっと、お酒を飲みすぎた後に頭が痛くなる現象かな。すぐ治るから大丈夫だよ!」
「そっか!もう飲みすぎちゃダメなのよ!」
幼い子供に正論を言われると、ぐさっと刺さるものがあった。
今ごろ、私より派手に飲んでいたラーファエルは、どんな有様になっているのだろうか。想像もつかない。
「ところで、すごいさくせんってなに?」
ティアラは随分と期待を膨らませているようだ。私に顔を近づけて、期待の眼差しをこちらに向けた。
思わず、顔がにやける。
「とりあえず、一緒に遊園地行こっか!
よいしょ!」
私は、腰に下げていた、魔法の鞄の中から、遊園地のチケットと、昨日ラーファエルと作った、空間転移スクロールを取り出した。
「すごい!どうやって畳んであったの?あれ?折り目がない!?」
ティアラは、この魔法のカバンに興味深々のようだ。
「その白い巻物を破ってごらん!」
ティアラはスクロールを受け取ると、大きく縦に破り切った。
ビリッ。
「ここは!?」
気がつくと、私とティアラは、遊園地のゲートの前に着いていた。
ひとまず、スクロールが上手く機能したことに安堵する。
楽しむ子供達の声、軽快な音楽。キャラメルポップコーンの匂いが漂う遊園地で、私は作戦を決行した。
昨日の夜、ラーファエルに教えてもらった作戦。それは…
最初のコメントを投稿しよう!