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打ち上げはやっぱりここがいい!
あの日から数日が経って、私はついに、
初任務達成との通知を、協会から受け取った。
「ティナ・アルファルフェラ様、初任務達成、誠におめでとうございます。」
受付係の中級フェアリーは、私に深々とお辞儀をして、更新されたカードを手渡した。
「ありがとう。」
初仕事が無事に終わり、わたしはるんるん気分で、足速に羽衣亭に向かった。
ラーファエルがいつも、先に座っておいてくれる、カウンター席まで飛んでいく。
パーン!
「おめでとう!!」
いつものように羽衣亭に着くと、ラーファエルと店主が、大きなクラッカーを鳴らして、祝ってくれた。
クラッカーの破片が、羽に当たって痛かったが、それ以上に、とってもとっても嬉しかった。
「ってことで、初任務達成を祝して、乾杯ー!」
私は、私専用の小さなジョッキを掲げて飛び上がり、ラーファエルと店主のジョッキに当てた。
「乾杯ー!」
店主とラーファエルも、私に続いて飲み始める。
店主なのに、飲みながら仕事をしていいのだろうか。
「初任務、お疲れ様。」
ラーファエルは私を労いながら、いつもの聖水ビールを、飲み干した。
「ラーファエル、作戦考えてくれて、ありがとう!」
私は、今回の任務一番の功労者であるラーファエルに感謝を伝えた。
「汝、その演舞を見ん。そこに妨ぐ男あり。
桃色の少女のあるところ、赤き英雄、現れたり。
幾千幾万の縁超え、真実の愛は結ばれん。
これの意味が、やっとわかったの!」
私は前のめりで、ラーファエルに近づく。
ラーファエルは口元を綻ばせて言った。
「ティナがショーを見せてから、担当のティアラちゃんをバカにする、男子たちが現れる。そこに、ある男の子がやってきて成敗したってところだったかな。」
まさにその通りだ。
わたしは、目を丸くして、ラーファエルを見つめた。
「ラーファエルはその未来を知っていたんだよね?」
ジョッキを置いた、ラーファエルの指の上に飛び乗った。
「うん。断片的に未来が見えたんだ。
でも、それはあくまで未来の可能性。実現させたのは、紛れもなくティナ、君の功績だよ!」
ラーファエルは指で、私を優しく撫でる。
大きな手は温かかった。
「大将も、マジックアイテムを作ってくれてありがとう!すごく助かったよ!」
私は、追加の注文とともに、店主に礼をした。
店主は獅子のような大きな体を震わせ、満足げに笑いながら、大きな皿を持ってきた。
「嬢ちゃんが困ってたんだ。なあに、いいってことよ!」
店主はそう言うと、
「サービスだ!」
と、デザートを用意してくれた。
「ラーファエル用の、ハッピーチェリーの生ハム巻きと、
嬢ちゃん用の、花蜜アイスクリームな!」
お皿には、甘いものが苦手なラーファエルのためのおつまみと、スプーンの上に乗った1口サイズのアイスクリームがあった。
私のサイズで持ってきてくれる、店主の優しさがありがたい。
フローラルな香りが漂う、蜂蜜のスッキリとした甘みが絶品だった。
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