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ギンギン頭に響く声。何回聞いても五月蝿く、憎い声。何回も、何回も、聞いて、聞いて、聞いて聞いて、それでもやっぱり慣れないこの声。大っ嫌いな、父さんの声。
「おい!!!いんだろ!!!殴らせろ!!」
「い、いますいます!!!今行きます!!」
また始まる。痛くて、辛くて、何にも考えられなく時間。
「ッチ、お前は誰のおかげで飯食えてると思ってる??お前みたいな病気持ち、俺じゃなかったら売ってるんだ。」
「.....」
「聞いてんのかッ?!あぁ"ん?!」
「あ、すいませ、すいません!!!」
煙が溜まって臭いのか、それとも俺が臭いのか、わからない。
まともに風呂に入りたい。
「あーくそイライラする…お前のせいだ」
「すいません、すいません、すいません、」
イライラとか、なんで俺に?俺の何に?
「良いよなぁお前は、どんだけ大きな怪我でもすーぐ治って、なぁ?いいなぁ?俺の怪我までお前がおえばよかったのになぁ?」
「す、すいません....!!」
治るからって、痛くないわけじゃないのに。
「おいお前、謝れば良いと思ってんな?」
「へ、っ....」
腹に強い衝撃。始まった。
「う"っあ、っ.....」
「なんで病気持ちの癖して俺より楽な体なんだよ、ふざけんじゃねぇ!!!」
次は髪か、前髪掴まれてんなぁ、
あー痛い。
なんだろ、部屋が赤いな……目に血が入ったのか?
「聞いてんのかっつってんだよおい!!!」
いつそんなこと言った?聞いてなかったのかな、俺。
「すいませ……っ」
なんで俺謝ってんだろ、何に謝ってんだろ、謝られるのは俺の方だろ?普通。
普通じゃないから?俺が普通だったらこうじゃなかった?俺だってなりたくて病気持ちじゃないのに。
「あーくそ、お前がいるってだけで税金払ってんだ、お前のせいで俺が可哀想な思いしてんだ。なぁ?」
まって、これ、え?吸ってたタバコが近づいてきてる。何しようとしてる?
「父さん、何し、っ、?」
「目玉一個くらい無くなったって困んねーだろ?」
何笑ってんだよ、おい。お前、俺の親だろ?
なんで俺に優しくしてくれないんだ?
なぁ、病気だったらこんな扱い受けなきゃいけねぇの?
大っ嫌いな自分の声が、臭い部屋に強く響いた。
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